投資としての新築マンション

新築VS中古論争

「買うなら新築?それとも中古?」という話題はネット上でもよく見かけますし、書籍でも「中古を買うべき」「やはり新築だ」と様々なものがあります。
この話題に結論がでないからこそ論争は尽きないのですが、それは当たり前の話でもあります。
なぜなら新築か中古かという比較はもちろん高い新築・安い中古の結局どちらが得かという論点ですが、それは実際に住む人の満足感に依存するからです。

たとえ相場よりも安い価格で購入できたとしても住んでみると住みづらい、不便を感じるとなればそれは失敗であったという結果になります。
このような自分自身が満足を得られるかどうかの価値を「使用価値」といいますが、これは取引価格とは関係のない価値です。
時計などの小物でも気に入っていればあまりいくらだったかは気にしませんし、外食したときも本当に美味しかったなら多少高くても満足感は得られますよね。

ですので、購入する物件が「予算内」で「本当に気に入った」ならそれが正解であり、新築か中古かという対立軸は意味を持たないといえます。

新築はなぜ高いのか

一方、投資用として新築マンションを見た場合はどうでしょう。
投資物件は中古が多いと思われるかもしれませんが、投資会社から新築物件を紹介されることも結構あります。
その際、「新築だから資産価値が高い」「家賃も高く設定できる」と営業されますが、そもそもの購入価格は中古と比較してどうなのでしょう。

ここでは自分が住むわけではないので「使用価値」は問題になりません。市場で取引される「市場価値」が重要になります。
同じような広さ、構造でも中古マンションより新築のほうが価格は高くなります。
何を当たり前の事を、車でも家電でも新品のほうが高いのは当然じゃないかと思われたでしょう。
その通りなのですが、他の動産とは異なり、こと不動産に限った話では新築はより割高に価格が設定されています。
「新築プレミアム」と呼ばれる上乗せ価格です。ただ新築であるから高いということです。
なぜそんなものが上乗せされているのでしょう。

由1)新築好きの日本人

日本人は世界の中でも無類の新築好きです。賃貸ならまだしも「どうせ買うなら新築で」と思っている人は多く、実際の住宅流通の割合は圧倒的に新築が占めています。

下のグラフ(国交省より)では黄色い部分が新築で水色が中古で示されています。これを見ても分かる通り新築ばかり出回っているのは日本特有の状況です。


もともと戦後の復興に合わせてどんどん新築を作ろうとし、税制面でも優遇措置をとってきた結果、家庭を持ったら新しく家を建てるという意識を皆が持つようになったのです。

今になって行政も中古物件をもっと流通させようとしていますが、一度植え付けられた意識は簡単に変わるものではありません。

このように皆が新築を欲しがるので、需要は絶えず、価格を高くしても売れる状況なのです。

理由2)販売までの費用を上乗せ

新築物件を売り切るまでには、様々なコストがかかっています。
まず、街で配るチラシ広告、郵送するダイレクトメールの作成を大量に刷ります。
そしてモデルルームを作って人員を配置し、見にきた人には商品券などのプレゼントをします。
さらに新たに建てるマンションの近くに小綺麗な営業所を設営して人件費もかけます。
これら諸々の費用は結局、売買代金に上乗せされて販売されているのです。
このような理由から、不動産とりわけ新築マンションは価格が高くなっているのです。

新築マンション投資のメリット

ではそのような新築マンションにあえて投資するメリットは何かあるのでしょうか。
新築への投資を勧める理由としてよく以下のものが挙げられるます。

1)修繕費がかからない
中古で物件を買うとすぐに修繕が必要になったりして思わぬ出費を迫られることがあるけど、新築ならその心配はないというものです。

2)家賃を高く設定できる
購入する場合だけでなく、賃貸においても「どうしても新築がいい」という人が一定数おり、また新築だからという理由で家賃を高く設定できるといいます。

3)住宅瑕疵担保履行法による補償
万が一、物件に問題がある場合は住宅瑕疵担保履行法によって10年は補償されるメリットがあるといいます。

4)仲介手数料がいらない
新築物件はデベロッパーとの直接取引ですので、仲介手数料がかかりません。

これらがメリットであると言われています。

新築マンション投資の検証

上で述べたメリットがあるから、中古マンションよりも新築マンションのほうが有利なのでしょうか?

まず修繕費ですが、確かにすぐに必要になることはないでしょう。しかし長く持ち続けていれば修繕費はいずれかかってきます。
反面、中古であっても必ずしもすぐにかかるわけではありません。購入する前に大規模修繕の履歴や計画を確認することで思わぬ出費は回避できるのです。

次に家賃についてですが、確かに新築価格で高めの家賃で入居者をつけることも可能でしょう。しかし忘れてならないのがその入居者が住み始めた瞬間にその物件は中古になり「新築プレミアム」は無くなるということです。
新築プレミアムが無くなった物件は、始めの入居者が退去すれば次の家賃は大幅に下げざるを得なくなるのが現状です。

瑕疵担保履行法は有用な制度ですが、建ててから10年だけというのがネックです。建設会社もバカではありませんから数年で不具合がでるような建物はそうそう作りません。実際にマンションの傾斜問題なども築年数はかなりたってから顕在化していますよね。
そう考えると補償として機能するのは限定的なケースであるでしょう。
結局10年以上持ち続ける場合、瑕疵担保履行法の範囲外となって中古の物件でも条件は変わらないことになります(この場合、民法で責任を追及する事になります)

仲介手数料がいらないのは本当です。この点だけは中古よりも明確にお得ですね。

このように新築だからといってほとんどメリットはないのですが、投資情報を収集していると新築を強く勧めているサイト、集まり、書籍に多く出会います。
そんなときはその主催者、著者がどんな人なのか注意してみてください。
そのほとんどが建設業界に携わっていることがわかるかと思います。
自分たちがどんどん新築を建てる側なのですから、売れなければ困るわけです。
このようなお為ごかしには惑わされないようにしましょう。

中古になるとどのくらい価格は下がるのか

では入居者が入って中古になると購入価格と売却価格はどのくらい変わるのでしょうか。
一般的に上で述べた新築プレミアムで上乗せされる価格の割合は20〜30%であると言われます。そして新築購入時から中古になった瞬間(つまり人が入った瞬間)、売却価格は10%〜20%下落すると言われています。
こういうと、「いやいや新築で買ったけど、購入価格より高く売り抜けたよ」という事例もあがろうかと思います。
このような購入価格より高く売却できた事例は景気変動の波に乗れた恩恵であります。
直近でいうとリーマンショック後のマンション価格が下落したあたりで購入した人はその恩恵に預かれたのではないでしょうか。
そのような事情のない限り、新築で購入した価格より高く売却できることはありません。
新築は、一室ではなく一棟ものとしてなら投資としての可能性はまだ検討の余地はあるかもしれませんが、少なくとも一室だけの購入を勧められても有利な投資方法とは考えにくいものです。

ただし新築物件の活用法としてひとつだけ有益なことがあります。それは内覧やモデルルーム見学を多くすることです。そこには最新のトレンドや技術が取り入れられていますから、
それを見学して最新の設備や構造を頭に入れて、中古物件選びに生かすことができるからです。

新築で買って投資をしている人は

ここでの結論は投資として新築に手を出すのは慎重になるべきということなのですが、すでに新築物件で投資を始めているという方もおられるでしょう。
これまで述べたように、売却戦略では新築で購入した物件は不利になります。
そこで、売却益を狙うのでなく、家賃収入での回収を狙うものだと割り切って保有をし続けるほうが良いと考えます。
新築の場合はしばらくは入居者募集に苦労することもないでしょうから、短期売却は考えず、長期的な収益性を活かしてゆくように考え、繰り上げ返済の計画を立てるなど、いかに早く投下資本を回収するかに重点をおけばトータルで収益を上げることも可能になるでしょう。

まとめ

1、自分が住むなら使用価値を感じられる新築はありです。
2、投資としては購入価格が上乗せされている新築は収益面でデメリットとなります。
3、一度でも入居者が入り中古になると1割〜2割価格が下がります。
4、新築マンションで売却益がでるのは景気の波に乗った時だけです。
5、新築は一棟建てるならともかく一室のみでは有利な投資方法ではないでしょう。
6、新築物件は内覧だけして造りを確認し、中古物件探しの参考として活用しましょう。
7、新築物件で投資を始めた人は長期保有で収益をあげる方針を固めましょう。

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