投資用不動産購入のポイント⑤〜最終判断〜

投資物件購入検討の最終判断、結局この物件はアリなのか?

・運用期間中の総収入と総支出で収益性を比較

・20年間の総収入は1,422万円と試算

・20年間の総支出は1,463万円と試算

・運用中にしっかりと利益を確保できる物件に目を向けるべし

前回「投資用不動産購入のポイント④」では、モデルケースを検討して、購入時の現金比率を上げると共に、売買代金を値引きすれば、月々の収支を改善でき、プラスにすることができるという結論でした。

しかし、購入時に投入した自己資本は運用して取り戻さなければなりません。

今回は、モデルケースの物件を20年間運用した場合に、結局のところ投資として適しているかどうかの最終判断を行いたいと思います。

判断方法として、20年間の総収入と総支出を比較することにします。

【モデルケース】

東京都S区
都営浅草線 最寄り駅 徒歩10分
築25年
専有面積18.49㎡の1K
販売価格1100万円

賃料65,000円

表面利回り7.09%

20年間運用した場合
総賃料収入(空室を考慮):1458万円
諸費用、固都税、管理費・積立金:-491万円

純収入(手残り):967万円

(以上は不動産投資会社から案内された内容です)

この物件を950万円まで値切って購入し、頭金300万円、650万円を20年ローン(金利年2.5%)で購入すると考えてみましょう。

20年間の総収入は1,422万円

まずは総収入から計算してみます。

運用中の収入は家賃収入・更新料・礼金です。

家賃は65,000円と案内されていますが、前回お話ししたように、マンションの賃貸募集履歴を参考に60,000円と想定します。通常この家賃は築年数が経つにつれて下落しますが、今回は途中でリノベーションを施すことで現在賃料を維持するものと仮定します。

月々60,000円×240ヶ月×0.95(空室率を95%と想定)=13,680,000円となります。

次に2年に1度更新料1ヶ月分が入るとして9回の更新で60,000×9=540,000円です

礼金については入居者を募集する広告料と相殺します。

すると総収入は13,680,000+540,000=14,220,000円です。

 

20年間の総支出は1,463万円

次に総支出を計算しましょう。

支出項目は多岐に渡りますが、大きく分けて初期費用・管理手数料・修繕積立金・税金・ローンの支払いです。

初期費用は、仲介手数料、不動産取得税、印紙代、登記費用、ローン保証料、火災保険料などに分かれます。細かい計算も紹介する機会を持ちたいと思いますが、これらを合わせると初期費用の総額は売買代金の1割くらいになることが多いので、ここでは売買代金950万円の1割で95万円としておきます。

管理手数料は、サブリースでなければ5%としている管理会社が多いのですので、5%で計算します。

60,000×0,05×240ヶ月=720,000円となります。

修繕積立金も毎月積み立てる必要があります。慣例として新築時は相場より低額に設定しておいて、築年数が経つほど金額が上昇するパターンが多いですが、国土交通省のガイドラインhttps://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf では15 階未満で建築延床面積 5,000~10,000 ㎡のマンションの平均値は202 円/㎡・月となっています。

これを適用すると、202円×18.49(㎡)×240=896,395.2円、つまり約90万円です。

次に税金ですが、固定費としてかかる税金は固定資産税と都市計画税です。

固定資産税の税率は多くの自治体で1.4%、都市計画税は0.3%です。

この税率と「課税標準」の金額とが掛け合わされて税額が決定します。

課税標準×1.7(固定資産税1.4+都市計画税0.3)%=固都税額 です。

「課税標準」とは何かと言いますとその物件の評価価値のようなもので売買代金とは異なります。

「課税標準」は市区町村によって管理されている「固定資産税台帳」に基づいて算出されています。この台帳は土地の所有者の氏名や住所、面積などの土地の情報、床面積や建物の構造・築年数といった家屋の情報、そして固定資産税の金額が記載された書類です。

では家屋の情報からどのように「課税標準」を求めるかというと、

再建築価格×経年減点補正率=課税標準額

と、このように計算します。

販売価格ではなく、「もしその建物を建築しなおしたらいくらかかるのか」が再建築価格です。建築費用は1㎡あたり、木造13万、軽量鉄骨15万、鉄骨17万、RC(鉄筋コンクリート)20万が相場となっています。モデルケースの物件は軽量鉄骨構造のようですので、

150,000×18.49(㎡)=2,773,500円が再建築価格となります。

経年減点補正率は建物が古くなるほどその資産価値は目減りするので、それを補正する数字です。

一般的な鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造では経過年数60年まで、経年減点補正率が設定され、60年経過以上のものは再建築価額の20%となります。

10年単位で見ると、

10年経過の経年減点補正率は0.6386
20年経過の経年減点補正率は0.5509
30年経過の経年減点補正率は0.4632
40年経過の経年減点補正率は0.3754
50年経過の経年減点補正率は0.2877
60年経過の経年減点補正率は0.2000

となります。

この経年減点補正率を加味して固都税額を計算すると、平均して年2万円ほどの税額となります。

さすがに築古でこの専有面積だと安くなりますね。

ただ、マンションの場合、専有部分だけでなく、共有持分および土地所有分にも固都税がかかってきますので、それを含めると年4万円程度になるでしょう。

よって4×20(年)=80万円となります。

さらに賃料レベルの維持のためにリノベーションを途中で施すとして、リノベ料金のボリュームゾーンは㎡あたり10万円程度が相場です。(HOME’S調べ)

https://www.homes.co.jp/renovation/column/knowledge/flow/post-15966.html

10万円×18.49=1,849,000がリノベにかかる費用となります。

最後に、金利を含めたローンの返済額が、650万円の20年ローン(金利2.5%)で8,266,375円です。

これに頭金300万円を加えた数字が総支出額となり、

950,000+720,000+900,000+800,000+8,266,375+3,000,000=14,636,375円です。

 

総収入−総支出=マイナス41万円

このような結果となりました。もちろん20年運用した時点で、ローンのなくなった物件を保有していることになりますから、それを売却して 利益を出すことは可能でしょう。

しかし、少なくとも運用期間中の収益がマイナスである以上、地震等の災害や事件・事故物件となる可能性のリスクを考えると積極的に手は出さないとの判断が正解なのではないでしょうか。

20年先に始めて収益を上げるより、運用期間中にしっかり収益性を持てる物件を選んだ方が良いでしょう。

 

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